産後の筋トレはいつから?
週数ではなく、2回の産婦健診で決まる

産後の筋トレをいつから始めるか考える女性
監修者

高山 大輝Daiki Takayama

『 新しい自分へ 』

完全個室マンツーマンで、運動初心者・ジム通いに挫折経験のある方を中心に、トレーニング・食事・生活習慣をトータル設計しています。

RE:NEW personal gym 烏丸御池の高山です。

「産後の筋トレって、いつから始めていいんだろう」

調べるほど、書いてある週数がバラバラで迷いますよね。
自然分娩なら6週、帝王切開なら3ヶ月。そんな表もよく見かけます。

でも、その週数がどこから来た数字なのかは、たいてい書かれていません。


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産後の筋トレをいつから始めるかは、週数では決まりません

産後の健診の話から始めます。

国は、産婦さんの健診を2回分、費用を助成しています。
対象になっているのは「産後2週間、産後1か月など出産後間もない時期」です。

その健診で何を見ているか。
母体の身体的機能の回復、授乳の状況、そして精神状態。主にこの3つです。

つまり、体がどこまで戻ったかを確かめる場は、もう用意されているということです。

だから開始時期は、こう考えています。
週数を数えるより、その2回で「動き始めていいですか」と直接聞くほうが早い。

出血や痛みが続いている。
尿もれが気になる。
気持ちが沈んだまま戻らない。
どれも、その健診がもともと見ている項目です。言い出しにくい話ではありません。

✅ 「開始日は、ネットの表ではなく健診で決まる」 — 体の回復も気分も、もともと見てもらう項目のうちです。

産後に勧められているのは、休むことだけではありません

WHOが2020年に出した身体活動のガイドラインには、妊娠中と産後の女性に向けた項目があります。

書かれている中身は、思ったより積極的でした。

📋 産後の身体活動として示されていること

動かす量
産後を通して定期的に体を動かし、週150分以上の中強度の有酸素運動を行う
→ 禁忌がない人への強い推奨として書かれている

動かす種類
有酸素運動と筋力トレーニングの両方を取り入れる(軽いストレッチも有益)
→ 筋トレは避けるものではなく、入れるものとして並んでいる

座っている時間
座ったままの時間を減らす
→ どんな強さでも、動きに置き換えれば利益がある

「休む」と「鍛える」は、対立していないんです。

ただし同じガイドラインは、入り方も指定しています。
少量から始めて、頻度・強さ・時間を段階的に増やしていく。

ここを飛ばして、いきなり週3回・1時間から入る。
産後にいちばん起きやすい失敗は、たぶんこれです。


尿もれが怖いから腹圧を避ける、は逆かもしれません

産後の記事でよく見るのが「尿もれのリスクがあるから、お腹に力が入る種目は避ける」という説明です。

ところが、研究のほうは逆を向いていました。

産後1年間の運動を集めた2025年の解析(65の研究・のべ2万1千人あまり)では、骨盤底筋のトレーニングをした人は、尿失禁の起こりやすさが37%低いという結果が出ています。骨盤臓器脱も56%低いという報告がありました。

WHOのガイドラインにも、骨盤底筋のトレーニングは尿もれのリスクを下げるために毎日行ってよい、と書かれています。

お腹についても同じ解析が触れています。
腹筋のトレーニングをしたほうが、左右に開いた腹直筋の距離は縮んでいました。ただしこちらは「確実性は低い」という但し書きつきです。

避けるのではなく、順番を決める。
先に骨盤底筋、それから全身。現場で組むときも、この順番でいきます。


最初の1ヶ月にやることは「増やす」ではありません

産後に静かな部屋でマットの上に座り呼吸を整える女性のイメージ
産後に静かな部屋でマットの上に座り呼吸を整える女性のイメージ

厚労省の情報シートでは、筋トレは週2〜3日が推奨されています。自重のスクワットや腕立ても、ちゃんと筋トレのうちです。

ただしこれは成人一般の目安で、産後の人に向けた数字ではありません。

同じ厚労省の資料には、運動プログラムは安全性を最重視すること、そのために個人の潜在的なリスクや体力水準、体組成を評価することが重要だと書かれています。
いわゆる「個別性の原則」です。

だから最初の1ヶ月は、量を増やす時期ではありません。

抱っこで丸まった背中を、1日1回伸ばす。
息を吐きながら、お腹を薄くする感覚を思い出す。
歩く時間を、今より少しだけ長くする。

それで十分です。
負荷を足すのは、この3つが毎日できるようになってからで間に合います。


体重より先に、気分のほうが動くかもしれません

産後の運動について語られている動画を見ていて、印象に残ったことがありました。
体型の話と同じくらいの重さで、「メンタルが大事」と語られていたことです。

2025年に出たカナダの産後ガイドライン(産後1年が対象)は、推奨どおりに体を動かした場合に何が起きるかをまとめています。

大きな改善が見込まれるものとして挙がっているのは、心理的なウェルビーイング、骨盤まわり、運動器、心血管・代謝の健康。
そして、疲労が減ること。有害な出来事は起きなかった、とも書かれています。

体の項目に混じって、いちばん最初に心のことが書かれている。
産後のガイドラインとしては、そこが印象的でした。

眠れていないのに動いたら、もっと疲れるんじゃないか。
そう思うのが自然だと思います。ただ、指針が示している向きは反対でした。


「元に戻す」の“戻す”は、たぶん正確じゃない

産後の体を「元に戻す」と言いますよね。

でも、10ヶ月かけて変わった体が、数週間で元通りになることはありません。

戻すというより、作り直す。
その最初の一歩は、重いものを持つことではなく、健診で「動いていいですか」と聞くことです。

変化が見えてくるのは、たぶん数週間先。
それまでは体重計より、気分の軽さを目印にしてみてください。

この記事のまとめ

✅ 産後の筋トレをいつから始めるかは、週数ではなく産後2週間・1か月ごろの健診で確認して決める
✅ 国はその産婦健診を2回分助成していて、体の回復・授乳・精神状態を見る場になっている
✅ WHOのガイドラインは、産後に有酸素運動と筋力トレーニングの両方を勧めている
✅ 骨盤底筋のトレーニングは、尿失禁の起こりやすさが37%低いと報告されている
✅ 最初の1ヶ月は量を増やさず、背中を伸ばす・息を吐く・歩く時間を少し増やすところから


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