肩こりに筋トレの効果はある?
1日2分・10週間で痛みは下がった

肩こりに筋トレの効果はあるのか
監修者

高山 大輝Daiki Takayama

『 新しい自分へ 』

完全個室マンツーマンで、運動初心者・ジム通いに挫折経験のある方を中心に、トレーニング・食事・生活習慣をトータル設計しています。

RE:NEW personal gym 烏丸御池の高山です。

「マッサージに行っても、すぐ戻るんです」

烏丸御池はオフィスの多い街なので、体験の日に肩の話から始まる方がとても多いです。
ほぐしても戻る、という時点で、みなさんうすうす気づいておられます。

肩こりに筋トレの効果を調べた研究で使われた量は、1日2分でした。それを10週間です。


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肩こりに筋トレの効果はあるのか、27の試験をまとめた検証があります

首や肩の痛みと運動の関係は、世界中の試験をまとめて検証されています。

27の試験・2,485人分を集めた検証では、慢性的な首の痛みに対して、首と肩甲骨まわり、そして腕まで含めた筋力トレーニングが、終わった直後の痛みを中くらいから大きく下げていました。効果量でいうと−0.71です。

効果量は、おおまかに0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8以上で大きい、という読み方をします。

ただし同じ検証は、正直な但し書きも残しています。
ストレッチだけ、それから「とりあえず全身を動かす」だけでは、痛みも動かしやすさも変わらないかもしれない、と。こちらは根拠の確かさが低いレベルの話ですが、方向としては覚えておいていいと思います。

✅ 「効いたのは”運動”ではなく、その場所の筋トレ」 — 首・肩甲骨まわり・腕。範囲はここまでです。

自転車を10週間こいでも、肩はほとんど変わりませんでした

きれいに分かれた研究があります。

パソコン中心の単調な作業をしている7つの職場から、肩に慢性的な痛みを抱えた働く女性48人が集められました。
10週間、3つに分かれます。肩まわりを直接鍛える群。肩の力を抜いたまま自転車をこぐ群。何もしない群。

いちばんつらいときの痛みは、肩を鍛えた群で35mm下がりました。100mmの物差しで測っていて、始めた時点と比べると約79%減った計算です。
自転車の群は、5mm。しかも一時的なものでした。

肩こりの説明としてよく出てくるのが「血流が良くなるから効く」ですが、自転車を10週間こげば全身の血流は動くはずです。それでも肩の痛みは、ほとんど下がりませんでした。

ただ、自転車の側にも拾っておきたい結果があります。
同じ系統の研究では、自転車をこいでいた群も作業中に痛みが強くなっていく度合いが43%小さくなっていました。じっとしているときの痛みは変わらないまま、です。
一方で肩を鍛えた群は、安静時に52%、作業中に38%下がっていました。

有酸素が無駄という話ではありません。届く場所が違う、ということだと思います。


効いたのは、重いものが挙がるようになったからではありません

同じ研究チームは、体の中で何が変わったのかも測っています。

10週間で変化が出たのは、やはり肩を鍛えた群だけでした。最大の力は18〜29%増えています。
ところが「素早く力を出す能力」は61〜115%増えていました。僧帽筋の速い筋線維も20%太くなっています。

もうひとつ。首肩の痛みを持つ198人を追った研究では、最大筋力は5〜6%しか増えませんでした。それでも痛みは下がっています。
そして痛みの変化と関係が見えたのは、ここでも素早く力を出す能力のほうで、最大筋力の変化とのあいだには関係が見つかりませんでした。

肩こりのための筋トレは、重さを更新していく競技ではない、ということです。
軽くても、狙った場所にきちんと入っているかどうか。現場でつまずくのは、だいたいここです。


1日2分と1日12分で、下がり方はほとんど同じでした

デスクワークの合間にゴムチューブで肩甲骨まわりを動かしているイメージ
デスクワークの合間にゴムチューブで肩甲骨まわりを動かしているイメージ

その198人の研究は、量の比べっこでもありました。

平均43歳、88%が女性、勤務時間の93%がパソコン作業。前の1年で痛かった日は186日。かなりこじれている人たちです。

ゴムチューブを使って、1日2分の群と、1日12分の群。週5日、10週間。
何もしない群と比べて、痛みは2分の群で1.4点、12分の群で1.9点下がりました(0〜10点)。押したときの痛みは4.2点と4.4点(0〜32点)。

6倍の時間をかけた差が、これです。

中身も、拍子抜けするくらい単純でした。
2分の群がやっていたのは、ゴムチューブを持って腕を体の横から上げていく動きを、もう上がらないところまで1セットだけ。12分の群は、同じ動きを8〜12回で5〜6セットです。

種目を増やしたわけでも、マシンを何台も回したわけでもありません。
やることが1つしかないから、続いたのだと思います。

📋 時間の使い方でわかっていること

1日2分 vs 1日12分(10週間)
痛みの下がり方はほぼ同じ
→ 足りないのは時間ではなく、続いた週の数

週1時間をどう割るか(20週間)
20分×3回でも60分×1回でも7分×9回でも、頭痛の頻度と強さは約半分に
→ ただし鎮痛薬の量まで減ったのは、指導がついた群だけ


正直に書くと、これで全部が片づくわけではありません

首の痛みで仕事を休んでいる83人に、ふつうの運動へ首肩の筋トレを足した研究では、痛みの下がり方に群の差は出ませんでした。どちらの群も下がってはいます。
差がついたのは「動かすのが怖い」という気持ちのほうでした。

緊張型頭痛の60人では、肩の筋トレをした群と、机まわりや姿勢を直した群のあいだに差がありませんでした。

「姿勢を直せば治る」も「鍛えれば治る」も、そこまで強い証拠はない。
そのうえで、いま数字がいちばんはっきり出ているのが、首と肩甲骨まわりを自分で使う時間をつくることだ、という話です。

それから、力が入らない、腕や手にしびれが出ている、じっとしていても痛む、発熱がある。
このあたりが出ている日は、鍛えるより先に医療機関で診てもらってください。


週2〜3日、息をこらえずに

厚生労働省の身体活動・運動ガイドは、成人にも高齢者にも週2〜3日の筋トレをすすめています。さきほどの1日2分の研究は、週5日で行われています。毎日は難しいという方は、まず週2〜3日から。ここは生活に合わせて決めていい部分です。

効かせる条件も、同じ資料に書かれています。
日常生活より少し強い負荷を繰り返し、慣れてきたら少しずつ上げていくこと。一律の回数ノルマではなく、自分に合った量にすること。そして血圧が上がりすぎないよう、息をこらえないこと。

やりすぎは逆効果になる可能性がある、とも書かれています。肩こりを何とかしたい人ほど、これは大事だと思います。
筋肉は年齢に関係なく鍛えられます。今日いくつでも、ここは変わりません。


肩がこらない人は、肩を休ませている人ではありません

肩こりの相談を受けていていつも思うのは、みなさん肩を休ませすぎている、ということです。

一日中、同じ角度で止めている。だから重くなる。
重いから、動かさないようにする。

研究で下がったのは、休ませた肩ではなく、使った肩でした。
それも、1日2分から始まっています。

この記事のまとめ

✅ 慢性的な首の痛みに対し、首・肩甲骨まわり・腕の筋トレは痛みを中〜大きく下げていた(27試験2,485人)
✅ 肩を動かさない自転車こぎでは、10週間でも痛みはほとんど下がらなかった
✅ 痛みの変化と関係していたのは最大筋力ではなく、素早く力を出す能力のほう
✅ 1日2分と1日12分で、10週間後の下がり方はほとんど同じだった
✅ 週2〜3日・息をこらえない・やりすぎない。しびれや発熱がある日は先に受診を


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