運動不足のまま60代になると?
衰えは40代の3〜4割にもう出ている

台から片脚で立ち上がろうとする50代の男性と「運動不足のまま60代になると?衰えは40代の3〜4割」のコピー
監修者

高山 大輝Daiki Takayama

『 新しい自分へ 』

完全個室マンツーマンで、運動初心者・ジム通いに挫折経験のある方を中心に、トレーニング・食事・生活習慣をトータル設計しています。

RE:NEW personal gym 烏丸御池の高山です。

「このまま運動しないで年を取ったら、自分はどうなるんだろう」

40代、50代に入ると、ふとこれが頭をよぎります。
ただ調べてみても「寝たきりになります」のような話ばかりで、自分の話として入ってきません。

先に言ってしまうと、それは60代で始まるものではありません。全国調査では、40代の時点ですでに3〜4割の人に出ています。


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運動不足で60代に何が起きるかは、40代でもう出ている

国の資料に、20〜80歳代の成人1万人を対象にした全国調査の結果が載っています。

運動器の障害で移動する力が落ちた状態を「ロコモ」と呼びます。
その該当率が、年代ごとに出ています。

40代で男性34.2%、女性41.2%。
50代で男性43.9%、女性43.6%。
60代になると男性63.5%、女性65.1%です。

60代で急に始まるのではなく、40代の時点ですでに3〜4割が入っている。
同じ調査を8,681人分で解析し直した報告でも、全体の41%が該当していました。

✅ 「60代になってから」ではない — 40代で3〜4割、50代で4割強。もう分かれ目の中にいます。

自分が今どこにいるかは、台から立てるかで分かる

運動器のいいところは、自分の段階を今日その場で測れることです。

日本整形外科学会が「ロコモ度テスト」として3つの方法を決めています。
台から立ち上がれるか、大股2歩でどれだけ進めるか、25項目の質問票。

📋 ロコモ度の判定基準

ロコモ度1/移動機能の低下が始まっている
片脚で40cmの台から立ち上がれない/2ステップ値1.1以上1.3未満/質問票7点以上16点未満
→ 運動を習慣づける段階

ロコモ度2/低下が進行している
両脚で20cmの台から立ち上がれない/0.9以上1.1未満/16点以上24点未満
→ 整形外科専門医の受診がすすめられる段階

ロコモ度3/社会参加に支障が出ている
両脚で30cmの台から立ち上がれない/0.9未満/24点以上
→ 整形外科専門医の診療がすすめられる段階

3つのうち1つでも当てはまれば、その段階と判定されます。
家でできるのは最初のひとつです。台に浅く座って、反動をつけずに片脚で立ち上がれるかどうか。


引き返せなくなるのは、最後のひと段階だけ

ここが、たぶん一番知りたいところだと思います。

地域に住む1,575人(平均65.6歳)を6年間追いかけた研究があります。
開始時点でロコモ度1が41.3%、度2が14.9%、度3が11.6%でした。

6年後に要介護や死亡のリスクがはっきり上がっていたのは、ロコモ度3の人だけでした。
国の資料にある6年間の要介護リスクも、度1が1.03、度2が1.09、度3が3.63という並びです。

度1や度2では、まだ数字が動いていません。
線はずっと先にあって、その手前で止まれる。そういう構造になっています。

✅ 「始まっている」と「間に合わない」は別の話 — 数字が跳ねるのは度3から。度1・度2は引き返せます。

運動不足が効いてくるのは「寝たきり」ではなく、その手前

介護が必要になった原因を調べた国の調査があります。

全体の1位は認知症16.6%、2位が脳血管疾患16.1%、3位が骨折・転倒13.9%。
これだけ見ると、運動不足の話はそこまで大きく見えません。

ところが、介護の一歩手前にあたる「要支援」に絞ると、順番が変わります。

要支援になった原因

1位は関節疾患

関節疾患 19.3%
高齢による衰弱 17.4%
骨折・転倒 16.1%

要介護になった原因

1位は認知症

認知症 23.6%
脳血管疾患 19.0%
骨折・転倒 13.0%

要支援2まで来ると、関節疾患19.8%と骨折・転倒19.6%で、約4割が運動器の問題です。

そして転倒は、減らせることが確かめられている数少ない項目でもあります。
国のガイドでは、有酸素運動・筋力トレーニング・バランス運動を組み合わせた運動プログラムで、転倒のリスクが12〜32%、転倒・骨折のリスクが15〜66%下がったと報告されています。


「週何回やるか」より先に、ゼロをやめる

自宅のリビングでダイニングテーブルに手を添えて片脚立ちをする40代の女性
自宅のリビングでダイニングテーブルに手を添えて片脚立ちをする40代の女性

では、どれくらいやればいいのか。

先ほどの全国調査を解析した報告に、意外な結果が出ています。
40〜64歳では、月に1〜3日しか運動していない人でも、まったくしない人よりロコモの割合が低かった。

頻度を増やすほど下がる、という関係がはっきり出たのは65歳以上のグループだけでした。

国のガイドにも、推奨値に届かない少しの身体活動でも死亡率は下がること、身体活動の少ない人ほど少しの活動で大きな効果が期待できることが書かれています。
ゼロと月1回の差が、いちばん大きいわけです。

📋 国が示している目安

成人
歩行以上の身体活動を1日60分以上(約8,000歩)
→ 筋力トレーニングを週2〜3日

高齢者
1日40分以上(約6,000歩)/多要素な運動を週3日以上
→ 筋力トレーニングを週2〜3日

歩数の目安は年を取ると下がるのに、筋トレの回数だけは週2〜3日のまま変わりません。
ここが、歩くだけでは埋まらない部分です。

学会がすすめている「ロコトレ」は2つだけです。
片脚立ちを左右1分ずつで1セット、1日3セット。スクワットを5〜6回で1セット、1日3セット。

片脚立ちは必ずつかまれる場所で行います。
スクワットは膝が90度を大きく超えないところまでにして、動作中に息を止めないこと。

痛みがある場合や、両脚で20cmの台から立てなかった場合は、鍛える前に整形外科専門医に相談してください。


60代のあなたは、今日の40cmの先にいます

正直なところ、この話は今日やっても明日は何も変わりません。

片脚で立ち上がれた人も、立てなかった人も、明日の体は今日と同じです。

それでも数字がはっきり分かれていたのは、ゼロのままだった人と、月に何回かでも動いていた人でした。
変わるのは数週間、数ヶ月のあとです。

この記事のまとめ

✅ 移動機能の低下は60代で始まるのではなく、40代で男性34.2%・女性41.2%にもう出ている
✅ 自分の段階は「片脚で40cmの台から立てるか」でその場で測れる
✅ 6年後の要介護・死亡リスクがはっきり上がったのは最終段階だけ。度1・度2は引き返せる
✅ 要支援になった原因の1位は関節疾患19.3%、3位は骨折・転倒16.1%=運動不足が効くのは介護の手前
✅ 月1〜3日でも、ゼロの人よりロコモの割合は低い。歩数の目安は下がっても筋トレは週2〜3日のまま


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